2013年4月12日金曜日

吉成小学校「楽しい学校の庭をデザインしよう」


この活動は吉成小学校の菅原教頭先生からの相談から始まりました。子どものお母さんたちががんばる『吉成っ子応援団』が学校の庭をきれいにする活動で助成が取れ、どこにもない素敵な庭にしたいのだがどうやってデザインしたら良いかわからない、ということでした。

 918日(火)に早速、デザインの対象となる校庭を中心とした学校の敷地内を下見し、打ち合わせをしながらプログラムを組み立てて行きました。デザインのアイデアを練るには現地の下見が欠かせませんが、この時にひらめいたのは、日本に古くからある庭のデザイン手法の一つ“池泉回遊式庭園”と“見立て”の技法(別なものになぞらえて見せること)でした。日本に学制が始まって以来、校庭は子どもたちの心身の健康を育む重要な場所ですが、その広さゆえ学校の敷地のほとんどを校庭が占めています。それならばむしろ、とその広い平坦な空間を大きな池に見立て、周りを巡りながら、その所々の特徴を持ってデザインされた小庭の空間を楽しむ“校庭を巡る楽しい庭”のアイデアにスタッフのモチベーションもあがり、3回のワークショップが組み立てられました。


1回ワークショップ「歩いてみよう」
20121013日(土)
 参加しようと集まった子ども9名大人10名は、講師のランドスケープアーキテクト上原啓五さんと渋谷セツコさん、見守る先生たちや2名の吉成っ子応援団のお母さんたち、建築と子供たちネットワーク仙台からも4名がスタッフとして参加、一緒に「楽しい学校の庭」のデザインに取り組みました。
校庭を大きな池に見立てましょう
 初めにクライアントの校長先生から「楽しい学校の庭をデザインしてくださいね。」との挨拶があり、2人の講師の紹介の後、渋谷さんから、広い校庭を大きな池に見立て、周りを遊びながら巡って元に戻れる“校庭を巡る楽しい庭”をデザインしよう、と提案がされました。庭の全部を一度に作ることは難しいので、今回は、A:東校舎前の花壇、B:プール前の欅の木陰、C:バックネット裏の三角公園の3か所を、五感を全部使って見に行くことになりました。1時間のフィールドワークの間、今まで見たこともない見方をしようと出かけた子どもたちと大人たちは、それぞれに驚きと発見をメモして部屋に戻りました。
 戻った後は、前もって用意された図面を使って簡単な設計図の描き方を習った後、A,B,Cのうち好きな部分を個人でデザインしていきました。A,とBは場所も近いので今後は一緒に考えていくことになりました。合間に上原さんの作庭した庭の画像やスケッチを見せてもらい、あっという間に3時間が過ぎ、個人のデザインを仕上げてくる事を宿題に解散となりました。


わからないことは現場で確認
第2回ワークショップ「デザインしようⅠ」
20121021日(日)
 この日は宿題に出されていた、一人ずつのデザインを発表することから始まりました。
 難しいと思っていたこの宿題に全員が取り組んで来ていたのには驚きました。発表のあとは、A:プール前の花壇と欅の木陰のグループ、B:バックネット裏の三角公園のグループの二つのグループに分かれてもらうことになりました。花壇のグループが多いだろうという予想に反して、バックネット裏が多かったのに又びっくり。今度はグループ活動ですから、リーダーを決めたりグループ名を決めたりしてデザインを進めました。できるだけたくさんのアイデアを、あらかじめ用意した、大きくA0版にプリントしてもらった白図に色鉛筆を使って描きこんで行きました。デザインの途中でどうしても現場をみなければわからないことが出てきて、Bグループの人たちは、全員で確かめるためにバックネット裏に行き、今できている図面を広げて考え直しました。
 アイデアはどんどん描きこまれて、下図がにぎやかになっていきました。一人一人の考えはもう一度家で練り直して、ユニークな遊具や修景にまとめてくることを宿題にして今日の活動は一区切りです。

第3回ワークショップ「デザインしようⅡ」
20121027日(土)
最終図面に色をつけます
  今日も宿題で取り組んだ詳しい公園のパーツのデザイン発表を一人一人にしてもらうことからはじまりました。丸太を使ったり木々同士をつないだりした花壇や飾り、ベンチやテーブルのデザイン画、ジョーロやホースを入れて運ぶ木製のカートなど楽しいアイデアがたくさん出されました。それを踏まえて、きょうは2つのグループのデザイン画をまとめ、清書して発表します。
 1時間はあっという間に過ぎ、発表しました。グループ名も決まり、Aは「けやきのこみち」、Bは「ツリーガーデン」になりました。それぞれに素晴らしい設計図ができ、クライアントである校長先生に手渡しました。「あんまりきれいだから額装して、庭が完成するまで飾っておきます。」校長先生も驚く出来でした。今後は少しずつこの設計図に基づいて実際に庭を作っていく作業に入ります。もちろんAとBが完成したら、他の“校庭回遊式庭園”の部分もデザインしていくことになるでしょう。みんな楽しみにしている様子でした。
A:けやきのこみちの図面


B:ツリーガーデンの図面



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