2013年4月12日金曜日

世界一田めになる学校・フィールデイズ「佐渡音マップ」




201322日(土)〜3日(日)
 渡り鳥と共生した農業を推進する宮城県大崎市、コウノトリやトキの野生復帰に取り組む、兵庫県豊岡市と新潟県佐渡市の子どもたち17名が参加して田んぼと湿地の生物多様性について考える「世界一田めになる学校・フィールデイズ」(主催:NPO法人田んぼ・佐渡生きもの語り研究所・コウノトリ生息地保全協議会、共催:建築と子供たちネットワーク仙台)が佐渡市で開催されました。
ふゆみずたんぼの生き物を観察
この活動では、佐渡の生きものたちとその環境を五感で見つめようと、佐渡の自然を巡りながら気になる「音」や気に入った「音」を図に描き、それがどこで聞こえたのかをマップに表すことになりました。このプログラムは、「仙台奥州街道建築たんけんガイドブック~奥州街道の音をスケッチしよう~」と南小泉小学校2003年第3学年「南小泉サウンドえ!?絵マップ」をベースにアレンジしたものです。
 はじめに会場のトキ交流会館で「音」を図に描くための練習として、シャボン玉や風船の軌跡や手拍子の「音」、そして佐渡で発見された新種のカエル「サドガエル」の鳴き声を線や矢印を使って描いてみました。次に探検のルートを確認してからフィールドに出発です。トキ交流会館の隣には、冬に田んぼに水を張り農薬や化学肥料を使わずに稲を栽培する「ふゆみずたんぼ」があります。この田んぼで生きもの観察をすることになり、まだ雪が残る田んぼに入って、金魚アミを使って泥水をすくいトレーにあけます。すると甲殻類のコミズムシやコモリグモの仲間など多様な生き物たちがいることがわかりました。この田んぼでは、田んぼにずぶずぶっと入る音や江に流れる水の音などを拾いました。このあとは、トキ保護センターがあるトキの森公園と隣の白山神社、牛尾神社、加茂湖をバスや徒歩で巡りました。トキの森公園ではカラスの鳴き声やトランペットの音など様々に聞こえるトキの鳴き声、白山神社では風の音やポキポキと枝が割れる音、牛尾神社では鈴の音や能舞台をたたく音、加茂湖では口笛のようなコガモの鳴き声などたくさんの音をさがすことができました。
 探検は17時で終了。宿泊先のトキ交流会館に戻ったあと、19時から再びワークショップです。ここでは、探検で見つけてきたたくさんの「音」のなかから気に入ったものを二つ選び、それをはじめに練習したようにマーカーで図にしていきました。

ただいま制作中
 3日のワークショップは、早朝7時半から10時半まで、前日に描いた図をもとにクレヨンを使って彩色した図を描きました。
 兵庫県豊岡市から参加したK君はトキの“カオーカオー”という鳴き声を絵にしましたが、そこには真っ赤に塗られたトゲトゲの固まりがいくつも描かれていました。不思議に思って聞いてみると、それはトキが人に驚いてドキドキしている鳴き方が混じっていたからとだ言うのです。K君はもう一枚、トキが保護センターの檻の中で“バタバタバタ”と飛び回る羽音を描きました。それらはいくつもの音の固まりが全部尖がっていて、赤黒く表現されていました。なんという透明な見方でしょう。この突きつけられた鋭い刃を大人たちはしっかりと受け止めることができるでしょうか。人が自然に生きるものたちにどんな事をしてあげたとしても、残酷なエゴイズムに違いない事を、ここに見つめている子どもたちがいるんだと、背中から冷水を浴びた思いがしました。
 2日間の活動を終えて、子どもたちはそれぞれの地域に戻りました。
地域が異なったり、同じ地域でも時が経ったりすれば「音」にどのような違いが出てくるでしょうか。「音マップ」は環境を見る物差しとしても使えそうです。
カオーカオー


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